雛人形の値段の違いはどこ?”ピンからキリ”の
はじめに
雛人形の値段は「数万円〜数十万円」まで幅が広く、
- 「見た目は似ているのに、なぜ値段が違うの?」
- 「高い雛人形は何が違うんですか?」
- 「価格差の理由を知りたい」
実は、雛人形の価格差には 明確な理由 があります。
専門店の視点から“ピンからキリ”の本当の理由を、
1. 一番大きな価格差は「着物の生地」
雛人形の値段に最も影響するのが 着物の素材と織り です。
高価な雛人形に多い特徴
- 正絹(しょうけん)=絹100%
- 西陣織・京都の伝統織物
- 柄の細かさ(織りの密度)
- 色に深みがある
- 裏地まで本絹を使用
絹は光沢が柔らかく、見た瞬間の“奥行き”が全く違います。
一方、手頃な価格帯ではポリエステルが中心で、
色の深み・質感・立体感に大きな差が出ます。
1-2. 着せ付けの美しさ・縫製の丁寧さでも価格が大きく変わる
実は、雛人形の価格を大きく左右するのは、
“生地そのもの”だけではありません。
着物の着せ方・縫製の丁寧さ・見えない部分の仕立ても、
値段に直結する重要な要素です。
価格が高い雛人形の特徴
- 袖の内側までしっかりと生地を使い、丁寧に縫製されている
- 裏地の処理が美しく、ほつれがない
- 着物の重ね(十二単のような層)が美しく整っている
- 前だけでなく“後ろ姿まで綺麗”に仕上げてある
- 着崩れしないよう細かく調整されている
- 正しい着物の作法に沿った「着せ付け」になっている
特に、お人形を後ろから見たときに
着物の重ねが綺麗なアーチ状に広がっているかどうかは、
職人の力量がそのまま表れるポイントです。
見えない部分の手間や丁寧さは、
写真だけでは絶対に分からない部分ですが、
価格差が最も出やすいところでもあります。
2. 「お顔」も価格を決めるポイント
雛人形のお顔には大きく2種類あります。
- 本練のお顔:桐の木のおがくずを固めて製作
- 一般的なお顔:石膏を型抜いて製作
本練のお顔は、
表情の柔らかさ、奥行き、雰囲気の“深み”が違い、
一点ものの価値が価格に現れます。
▼【追記】本練のお顔は店頭に“ほとんど並ばない”
ここが重要ポイント。
本練のお顔は非常に希少で、生産数が少ないため、
ひびが入ったりと管理が難しくなっています。
そのため、実際の店頭に並んでいる雛人形の多くは
石膏のお顔 が中心。
結論
「店頭にある雛人形同士では、
大きな値段の差は
着物・屏風・素材・職人ブランド
によって生まれることがほとんどです。
3. 飾り台・屏風・小物の質で大きく変わる
雛人形は「本体」だけでなく、
高価なセットの特徴
- 本金箔・本金粉を使った屏風
- 木材を使ったしっかりした飾り台
- 蒔絵(まきえ)など伝統技法
特に屏風は、飾った時の“全体の雰囲気”を大きく左右します。
ここにこだわると、価格も見た目の格もぐっと上がります。
4. 職人(人形司)のブランド力
雛人形の世界にも“作家性”があります。
- 京都の名工
- 皇室献上歴のある工房
など、職人の技術力・歴史・ブランド価値が価格に反映されます。
美術品と同じで、
「誰が作ったか」 は大きな価格の相違の一つです。作家それぞれにこだわりがあるので
ただ単に「●●さん(作家名)」が作ったから高い
というわけではなく、「●●さんには▲▲▲といったこだわりがあるので他のお人形より
お値段が高い」といったようになっています。
5. 「高いから良い」「安いから悪い」ではない
これは絶対に覚えておいてほしいポイント。
価格=満足度ではない
- ここまで説明したのはあくまで値段の違いです。
- 高い値段の雛人形が必ずしもあなたに合うとは限りません。
大切なのは「その家に合うか」「その子に惹かれるか」
ここが価格よりずっと重要です。
6. 「ピンからキリ」に見える本当の理由
一言でまとめると、こうです
■ キリ(手頃な価格帯)
- ポリエステル生地
- シンプルな小物
- 装飾の作りが簡易的
- 軽く扱いやすい
■ ピン(高価な価格帯)
- 正絹・西陣織
- 本金仕様の小物・屏風
- 職人の工房ブランド
- 素材・技・仕立てに一切の妥協なし
雛人形の価格差は、
「素材」と「技術」と「職人性」 の差です。
まとめ:値段には理由がある。でも最後は“好み”
雛人形の値段の違いには、
着物・お顔・屏風・職人など、
きちんとした理由があります。
しかし、最後に大切なのは──
“この人形いいな”と思えるか
私の好みに合っているな
毎年気持ちよく飾れるか
この3つです。
人形のガリバーでは専門用語は使わず、わかりやすい単語で説明しています。
是非わからないことはお店でお声がけ下さい。
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